一眼レフカメラとキットレンズを購入してしばらくすると、新しいレンズが欲しくなります。
「どんなレンズにしようかなぁ」とレンズを物色していると『明るいレンズ』や『暗いレンズ』といった言葉を耳にする事になります。
このページでは、明るいレンズとはどういったレンズかを解説したページです。
明るいレンズとは
明るいレンズとは、開放F値が小さいレンズの事を言います。
F値とは、絞りを表す数字で、f1.8とかf2.8などと書かれています。
ご自身のカメラに付いているレンズの絞りはどのくらいですか?
このF値が小さければ小さいほど、明るいレンズと呼ばれます。
明るいと言っても、写真が明るく撮れる事ではありません。
F値?絞り?
レンズの内部には羽の様なものがあり、この羽根の開き具合でカメラ内部のセンサーに光を取り込む量を調整する事ができます。
カメラは、適正な光量が得られないと、暗くなりすぎたり、明るすぎたりしてしまいます。
そうならないように、カメラ側もしくは撮影者が、レンズ羽根の開き具合(絞り)とシャッターボタンを押した瞬間にどのくらいの時間羽を開いているかを調整してあげる必要があります。
これが、絞りとシャッタースピードの関係になります。
F値が小さいレンズほど明るいレンズ
明るいレンズは、暗いレンズと比べると光を多く取り込む事ができます。
よく言われるのが水道の蛇口の例えで、蛇口を開放にした時と、少ししか開かなかった場合、1秒間に多くの水を出す事ができるのは前者です。
レンズも同じで、開放できる数値がF値で決められています。
ただ分かりにくいのは、F値が小さいほど明るいという事です。
先に書いた通り、一定の光量を確保する為には、羽の開きと開いている時間を調整する必要があり、羽が大きく開けばその分、開く時間を短縮する事ができます。
羽が開いている時間はシャッタースピードになりますが、シャッタースピードは早ければ動いているものも静止しているように写す事ができます。
逆にシャッタースピードが遅いと、被写体がぶれているように写ってしまいます。
明るい事のメリット
明るいレンズは開放F値が小さいレンズの事です。
F値が小さい事によって、同条件であればシャッタースピードを早める事ができます。
室内で子供撮りをする場合、日中の屋外に比べるとどうしても暗くなってしまい手ブレを起こしやすくなります。
明るいレンズなら、絞りを開く事で多くの光を取り込めますので有利になります。
また、F値が小さい事は、写りにも大きな影響を与えます。
それがボケです。
被写体にだけピントを合わせ、背景がぼけた写真。一眼レフならではの写りですが、このボケ具合は、撮影時のF値が小さければ小さいほど大きな効果を得られます。
大きなボケを得る為には、被写体に近づいたり望遠レンズを使う事でも得られますが、開放F値が小さいレンズを使っている事も重要な要素になります。
もう一つの要素ISO感度
レンズは明るいに越したはありません。
理由は、多くの光を取り込める為、シャッタースピードを稼げるからです。
明るい場所で、F2.0、シャッタースピード60分の1秒(1/60)で正しい光量が得られたとします。
次に同じ設定で暗い場所で撮影をすると、当然同じだけの光量が得られないので、暗い写真になってしまいます。
写真を暗くしない為にはSSを遅くするか、絞りを開ける方法がありますが、シャッター速度を低速にしてしまうと、手ブレを起こしてしまいますし、F2.0の絞りはレンズの限界でした。
こんな時、カメラが取り込む光量を機械的に増感させてあげる事で、暗い写真にしない方法があります。
この増感はISO感度と呼ばれていますが、増感すればその分、高感度ノイズが発生し、ザラザラとした写真になってしまいます。
こういった、光量、シャッタースピード、感度の関係があるので明るいレンズはそれだけでメリットが大きいのです。
明るいレンズのデメリット
逆に明るいレンズのデメリットは、
・値段が高くなる
・サイズが大きくなる
の2点です。
A、AF-S NIKKOR 70-200mm f/4G ED VR 約156000円
B、AF-S NIKKOR 70-200mm f/2.8G ED VR II 約240000円
この2つのズームレンズは焦点距離は同じ70mmから200mmですが、価格には10万円ほどの差があります。
この差は構造なども関係していますが、Aのレンズはf/4、Bはf/2.8と書かれています。
レンズの明るさは、これほど重要で、便利なズームレンズに明るさを求めると高額になるという事がお分かり頂けると思います。
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ズームレンズの開放F値の表記
入門用の一眼レフカメラとセット売りされているキットレンズのほとんどがズームレンズですが、そういったレンズの場合は『f/3.5-5.6G』と書かれています。
ズームレンズ(望遠レンズでは無い)は、レンズのズームリングを回すと、被写体を近くに写したり遠くに写したりする事が出来ます。
被写体を写せる画角を焦点距離といいますが、ズームリングの最小絞り値は焦点距離によって変わります。(高いレンズでは変わらないものもある)
『f/3.5-5.6G』の表記は「開放絞りは焦点距離によってf3.5からf5.6の間で変動しますよ」という事を表しています。
初心者にもおすすめな明るいレンズ
明るいレンズは高額になると書きましたが、明るくても安価に買えるレンズがあります。
それは単焦点レンズです。
単焦点レンズとは、名前の通り1つの焦点距離でしか撮影する事の出来ないレンズです。
逆にズームレンズは、18-55mmのように、その間の焦点距離であれば、ズームリングを回すことで調整する事ができます。
はっきり言って、ズームレンズの方が便利です。
でも僕は、この数年単焦点レンズしか購入していません。(単焦点だけで4本持っています)
関連:一眼レフ初心者が単焦点レンズを買った方が良い件
ズームレンズは機能上、どうしても構造が複雑になりレンズ内のガラスの枚数が多くなります。
光がガラス(レンズ)を通る時に少なからず反射するので、100%の光が通過するわけではありません。
透過性や反射率などを考慮しながら、何枚ものレンズを重ねていく為、高い技術とコストが価格に反映されますし、ガラスが多い分暗くなります。
その点、単焦点レンズは、1つの焦点距離に最適に設計されているので写りも良く、構造がズームレンズに比べ簡素なので価格も安く提供されています。
安価で写りの良い単焦点レンズは、
【キャノン】
【ニコン】
です。この2つはシンデレラレンズとも呼ばれ、大変コストパフォーマンスの高いレンズです。
まとめ
絞りを理解する為には、シャッタースピードや露出、そしてISO感度などを複合的に理解する必要があるので「一眼レフって難しい!」となる方も多いですが、そのうち慣れます^^;
基本的な事がわかってくると、写真がどんどん楽しくなってきますよ♪
それでは素晴らしいカメラ・ライフをお送りください。