現在僕はD800をメイン機としていますが、つい数ヶ月前まではAPS-C機(※)のNikon D300sを使用していました。
D300sでは焦点距離が60mmのレンズであれば、約88mmとして撮影する事が出来ます。
※APS-Cとはセンサーの事で、Nikon現行機種なら、D3300、D5300、D7100がDXフォーマットの機種でセンサーサイズがAPS-Cとなります。
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子供の撮影がメインの僕にとって、Nikon60mmF2.8は非常に使い勝手がよく、購入後は『Nikon35mm/f1.8』か『60mm/f2.8マクロ』のどちらかを使っていました。
ちなみに現在持っているレンズは、
・純正ズームレンズ+望遠ズームレンズ
・シグマ:10-20mm F3.5 EX DC HSM
・シグマ:17-70mm F2.8-4 DC MACRO OS HSM
・NIKON AF-S DX NIKKOR 35mm f/1.8G
・NIKON AF-S Micro NIKKOR 60mm f/2.8G ED
・NIKON AF-S NIKKOR 50mm f/1.8G
・NIKON AF-S NIKKOR 85mm f/1.8G
を持っています。
撮影サンプル
まずは撮影データのサンプルから。
マクロレンズが欲しかった理由
35mm/f1.8の購入後、35mm/f1.8はカメラにつけっぱなしの状態になりました。
ズームレンズは便利ですが、やはり単焦点のボケはすごく綺麗で、写真がぐんと上手くなったように感じます。
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35mmを購入した当時は長女も2歳で、公園に行ってもほぼ付きっきりでいられるので、35mmという焦点距離(APS-Cでは約52mm)もちょうど良く、小さくて軽いためかなり重宝していました。
僕のように、このレンズを買ってから本格的に写真にハマった人は少なくはないのではないでしょうか。
子供の成長と誕生
その後、次女が生まれるのをきっかけに、マクロレンズの検討をはじめました。
”子供の眉毛にピントを合わせて背景がぼけている寝顔の写真”を35mmでは上手く撮れませんでした。
35mm/f1.8は最短撮影距離(ボディ内センサーから被写体までの距離)が30cmなので、近寄っても、目や手、足のパーツ単位でクローズアップをする事ができません。
長女の時には、カメラの知識もあまり無くレンズにそれほどのお金を投資する価値を見いだせなかった為、35mm/f1.8で、指とか目を狙いましたがあまり良い写真は撮れませんでした。
赤ちゃん時期は本当にあっという間に過ぎていってしまうので、せっかくですからマクロで撮りたい!
こう思ったのがマクロレンズを検討しはじめたきっかけです。
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マクロはクローズアップするだけのレンズでは無い
子供の目や手足などのパーツをクローズアップするだけのレンズであれば、正直購入はしていないと思います。
マクロレンズというと、花・虫などのクローズアップ撮影を行えるレンズという事に間違いはありませんが、決してクローズアップ撮影しか出来ないレンズではありません。
よくポートレートでは「80mm〜90mm程度の焦点距離が良い」と言われますが、APS-Cセンサーでは60mm/f2.8マクロは90mm相当の焦点距離となり背景をぼかし被写体を浮かび上がらせる効果があります。
絞りだけでは無い!焦点距離によるボケの違いを知ってレンズ購入の目安に
また、等倍で写すだけなら、普通のレンズで撮影したデータを切り抜きをすれば同様の構図に調整する事ができますが、等倍で撮影したデータの方が画質が綺麗な事は言うまでもありません。
よって、マクロレンズには解像度にも高い精度が要求され、それに答えたレンズと言えます。
ニコンFフォーマット対応のマクロレンズ
ニコン機で使えるマクロレンズは
- ニコン AF-S DX Micro NIKKOR 40mm f/2.8G
- ニコン AF-S DX Micro NIKKOR 85mm f/3.5G ED VR
- ニコン AF-S Micro NIKKOR 60mm f/2.8G ED
- ニコン AF-S VR Micro-Nikkor 105mm f/2.8G IF-ED
- ニコン Ai AF Micro-Nikkor 200mm f/4D IF-ED
- ニコン Ai AF Micro-Nikkor 60mm f/2.8D
- ニコン Ai Micro-Nikkor 105mm f/2.8S
- ニコン Ai Micro-Nikkor 55mm f/2.8S
- シグマ APO MACRO 180mm F2.8 EX DG OS HSM
- シグマ MACRO 105mm F2.8 EX DG OS HSM
- シグマ APO MACRO 150mm F2.8 EX DG OS HSM
- シグマ MACRO 70mm F2.8 EX DG
- シグマ MACRO 50mmF2.8 EX DG
- TAMRON SP 90mm F/2.8 Di MACRO 1:1 VC USD (Model F004)
- TAMRON SP AF60mm F/2 Di II LD [IF] MACRO 1:1 (Model G005NII)
- TAMRON SP AF90mm F/2.8 Di MACRO 1:1 (Model272EN II)
- TAMRON SP AF 180mm F/3.5 Di LD [IF] MACRO 1:1 (Model B01)
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などがあり、マクロレンズといっても結構種類が豊富です。
まずは、APS-Cセンサー機は焦点距離が約1.5倍になるので、その点を考慮し、自分の欲しい焦点距離からレンズを絞り込みました。
僕は、昆虫などの撮影がメインでは無いので、あまり望遠よりのレンズは必要なありませんので、90mm(APS-C換算135mm)以上のレンズを除外します。
また、35mmレンズと焦点距離が被らないよう50mm以下も除外しました。
- ニコン AF-S DX Micro NIKKOR 85mm f/3.5G ED VR
- ニコン AF-S Micro NIKKOR 60mm f/2.8G ED
- ニコン Ai AF Micro-Nikkor 60mm f/2.8D
- シグマ MACRO 70mm F2.8 EX DG
- TAMRON SP 90mm F/2.8 Di MACRO 1:1 VC USD (Model F004)
- TAMRON SP AF60mm F/2 Di II LD [IF] MACRO 1:1 (Model G005NII)
- TAMRON SP AF90mm F/2.8 Di MACRO 1:1 (Model272EN II)
候補に残ったのは7本のレンズです。
この中で、特に評判の良いレンズが、
- ニコン AF-S Micro NIKKOR 60mm f/2.8G ED
- シグマ MACRO 70mm F2.8 EX DG
- TAMRON SP 90mm F/2.8 Di MACRO 1:1 VC USD (Model F004)
の3本。次にネット上での主なレビューをまとめてみました。
ニコン AF-S Micro NIKKOR 60mm f/2.8G EDの特徴
価格:64,522円(Amazon)
- AF(オートフォーカス)が高速
- フルサイズならタム9VC((Model F004))の方が良い
- 解像度が高い
- この価格で※ナノクリスタルコート採用はコスパが高い
※ナノクリスタルコートとは、
ゴーストやフレアーの少ない鮮明な画像が得られるレンズのコーティング。
参照元:Nikonイメージング
シグマ MACRO 70mm F2.8 EX DGの特徴
価格:39,078円(Amazon)
- 開放付近で※パープルフリンジが発生する
- AF時にウィーンと音がして、遅い
- 鏡筒が伸びる
- 写りのシャープさ、クリアさは素晴らしい
パープルフリンジとは
ピントが合った緑に対し、ピンぼけしている赤と青が縁からはみ出して紫色のフリンジとなる。
参照元:Wikipedia
TAMRON SP 90mm F/2.8 Di MACRO 1:1 VC USD (Model F004)の特徴
価格:64,603円(Amazon)
- 旧型の良さを受け継ぎAF速度が向上した
- ぼけに角が無く、やわらかい
- 純正105mmマクロに比べ、AF速度・精度、携帯性ともに上
レビューを見ても、それぞれの方の好みもあるので、良い評価もあれば当然悪い評価もあります。
レンズ選びが難しくも楽しい時ですよね。
(価格コムで3つのレンズの性能比較)
AF-S Micro NIKKOR 60mm f/2.8G EDにした理由
僕が60mm/f2.8にした主な理由は
- 焦点距離がちょうど良かった
- 425gと軽い
- 鏡胴が伸びない
- ナノクリを採用している
- 純正である
- AFが早い評判が多かった
の5点です。
レンズのスペック
焦点距離:60mm
最大絞り:f/2.8
最小絞り:f/32
レンズ構成:9群-12枚(ED レンズ1枚、非球面レンズ2枚、ナノクリスタルコート1面)
最短撮影距離:0.185m(等倍)
最大撮影倍率:1倍
絞りの羽根枚数:9枚(円形絞り)
アタッチメントサイズ:62mm
最大経:約73mm(最大径)
長さ:89mm(バヨネットマウント基準面からレンズ先端まで)
質量(重さ):約425g
レビュー
購入から1年ほどが経過し、D5000とD300sには、ほぼ35mmか60mmのどちらかでしか写真を撮っていませんでした。
撮影枚数は2万枚ほどになりましたが、総評としては大変満足をしています。
一番評価をしたいのは、AFの速度。
持っているレンズたちの中でも群を抜いた高速さです。
また、解像度も非常に高い印象を受けます。2段ほど絞れば、シャープで切れがあり髪の毛一本までしっかりと写しだしてくれます。
外観
ナノクリを採用したレンズにしては、チープな印象がありますが、それによって重量が軽く抑えられており、携帯性を損ないません。
前玉が小さい
左35mm/f1.8G、右60mmマクロ。フードが長め。
D5000に装着した状態。
左D300s+60mm、右D5000+35mm。
撮影データ
画像をクリックすると拡大画像が表示されます。
(撮影データ:Nikon D800、iso50)
左上100%切り出し
<f2.8>
<f3.0>
<f3.5>
<f4.0>
<f5.6>
<f8.0>
<f11>
<f16>
フルサイズで使用すると開放からf3.5程度までは周辺減光がありf4.0あたりから目立たなくなり、f8.0では確認できません。(ASS-C機では開放でも周辺減光が気になったことはありませんでした。)
シャープさは、開放からとてもシャープで、f5.6〜f8.0まで絞ると全体がシャープな印象になります。
D800での使用感
2ヶ月前に購入したフルサイズ機のD800は、D800の高解像度を活かしてくれるレンズです。
D300sやD5000では、このレンズの良さを100%出しきる事はできていなかったのだとあらためて感じました。
しかし、フルサイズにしてから初めて経験した絞り開放での周辺減光は50mm/f1.8Gや80mm/f1.8Gと比べてかなり出やすい印象です。
マクロとして使うのであれば、F4以上に絞って使うので全く気になりませんが、フルサイズ+60mm/f2.8マクロで、部屋撮りなどをする時は周辺減光か絞りのどちらかを犠牲にする事になります。
まとめ
エントリーモデルのキットレンズから、ぼけの綺麗なニコン純正のシンデレラレンズ35mm/f1.8Gが初めての交換レンズ購入となった人は多いと思います。
そして、もう少し焦点距離が長いレンズが欲しくなった時、ズームレンズにするか単焦点にするかは、非常に迷う所です。
ただ、この価格帯のズームレンズでは、綺麗なボケに感動する事もありませんし、重量も重くなります。
写りを重視し、価格を抑えるのであれば単焦点がベターな選択ですが、50mm/f1.8Gや85mm/f1.8Gに行く前にマクロを経験される事をおすすめします。