レンズを評価する時「明るいレンズ」と言われる事がありますが、明るいとは「開放F値の数字が小さい」事を言っています。
F値は絞りを表す数字で、F値が小さいほど被写体の前後をぼかしやすくなります。
背景をぼかす為に明るいレンズを使う事は、本などによく書かれていますが、ボケ味は絞りだけで決まるわけではありません。
ボケは絞りだけでは決まらない
主題を引き立たせる為に前後をぼかせるのは一眼レフならではの魅力ですが、
Nikon AF-S DX NIKKOR 35mm f/1.8G AFSDX35 1.8G
と
Nikon AF-S Micro 60mm F2.8G ED AFSMICRO60GED
は絞り開放(F値最小)で撮影した場合、どちらがぼかしやすいと思いますか?
上のレンズはFが1.8と書いてありますから、こちらの方が明るいレンズと言えますが、ボケ味はどうでしょう。
焦点距離の要素
大きなボケを作る為には明るいレンズが必要ですが、もう一つの要素に焦点距離があります。
上の2つのレンズの焦点距離は35mmと60mmですが、焦点距離の何ミリの表示が小さいほど、広く写す事ができ、数字が大きいほど遠くのものを大きく写す事が出来ます。
この焦点距離もボケを考える上での要素となり、焦点距離が長ければ大きなボケが作りやすくなります。
35mmと60mmのボケ
レンズそのもののスペックに違いがありますが、焦点距離が違う事でボケにどの程度差が出るのかを撮影してみました。
焦点距離が異なる単焦点レンズなので、画角が同じになる距離にカメラをセッティングします。
2つのレンズとも絞りをF2.8に設定し、絞り優先モードで撮影します。
撮影に使用したのはNikon D300s。
35mmF2.8
60mmF2.8
大体同じに見える位置で撮影しましたが、60mmは圧縮効果で背景が近くに感じます。
同じ絞りですが、60mmレンズの方がボケが強い事が分かります。
絞りを1段づつ変えてみた
35mm f4
60mm f4
F4では違いがよりわかりやすくなりました。
35mmは背景がはっきりしてきています。
35mm f5.6
60mm f5.6
35mm f8
60mm f8
35mm f11
60mm f11
F11の背景を切り取ってみた
35mm
60mm
差は歴然です。60mmはF11まで絞っても背景がぼやけていますが、35mmは建物の線まで見る事が出来ます。
レンズの向き不向き
一眼レフを楽しむ事は、交換レンズを楽しむと言っても過言ではありません。
交換レンズは、その個体によって同じカメラでも全く違うイメージに仕上がります。
レンズ沼という言葉がある様に、レンズ選びは一眼レフユーザーの楽しみの1つですね!
関連:シンデレラレンズを軸に自分におすすめのレンズシステムを考えよう!
そんな楽しいレンズ選びですが、レンズの個性とは別に焦点距離によるボケの違いが今回分かりました。
こういった特性から、
奥までしっかりとピントを合わせたい風景などは広角レンズが向いていたり
背景をシンプルに人物を際立たせたいポートレートには85mmが良い
などと言われているのです。
関連:ニコン単焦点AF-S 85mm f1.8Gを購入したのでレビュー
もちろん、風景は広角レンズじゃないと撮れないわけではありません。
どういった写真にしたいかの目的に合わせてレンズ選びをすればいいのです。
レンズの特性を知ると、レンズ選びが更に楽しくなりますし、自分の撮りたい写真に大きく近づく事が出来ます。
それでは楽しいカメラライフを♪